スーパーマーケットの天井にカビが!?正しい対処方法と対策をカビ専門家が徹底解説

食品を扱うスーパーマーケットは、他の小売店よりも衛生面で気を付けなければいけません。

しかし、スーパーマーケットには冷蔵庫や冷凍庫が多数置いてあるため、その冷気によって天井にカビが生えやすくなっています。

もし、自分が客の立場で店を訪れて、天井のカビを見つけてしまったら「ここで食品を買っても大丈夫なのだろうか…」と不安になるでしょう。

もしかしたら「カビの生えた店で買いたくない」とクレームを入れてくるお客様もいるかもしれませんし、何も言わずにもう二度と店を訪れないというお客様もいるかもしれません。

そして一番怖いのが食中毒です。

もし万が一、天井のカビが原因で食中毒の被害が発生したら、取り返しのつかないことになってしまいます。

そんな事態にならない為にも、カビを発見した場合はすぐに対処が必要です。

この記事でわかること


・スーパーマーケットの天井にカビが生えやすい理由

・カビ取り業者の選び方

・カビ取り業者が来るまでの応急処置の方法

・カビを見つけた後にやるべきこと、やってはいけないこと

・カビを予防する方法

この記事では、カビが生えた時の正しい対処方法や今後カビ発生させないための対策などもわかりますので、スーパーマーケットの経営者の方や店舗管理の担当者の方は是非最後までお読みください。

 

1.なぜスーパーマーケットの天井にはカビが発生しやすいのか

「なんでうちの店の天井は、こんなにカビが生えやすいんだろう」と思っている従業員の方や経営者の方もいらっしゃるでしょう。

スーパーマーケットの天井というのは、カビが好む条件が揃いやすいため、対策をしなければどの店でもカビが発生しやすい環境にあります。

では、なぜカビが好む条件が揃ってしまうのでしょうか。

大きな原因として考えられるのが、天井に発生する結露です。

まずは結露が発生する仕組みからお伝えします。

結露とは

 

空気には水蒸気が含まれており、その空気が含むことができる水蒸気量の上限を飽和水蒸気量と言います。

 

飽和水蒸気量は気温が低くなると小さくなるものです。

 

そのため、空気が冷やされると水蒸気が液化して、物体の表面に水となって現れます。

 

その現象のことを結露と呼んでいます。

冬の日の窓ガラスや冷たい飲み物を入れたグラスに水滴が付くのも、この現象が原因です。

そして店内でも同じようなことが起こっています。

スーパーマーケットの場合、お客様がすぐ手に取れるように蓋のないオープン冷凍庫を設置しているところが多くあります。

その冷凍庫から出た冷気によって天井が冷やされます。

そして天井裏との気温差が生まれ、結露が発生します。

スーパーマーケットの天井に発生しやすいカビはクラドスポリウム(俗名:黒カビ、クロカワカビ)というもので、湿度の高い場所に生えやすい性質があります。

通常カビは20℃~30℃の気温を好むもので、このクラドスポリウムも同じです。

しかしこのカビは、一度繁殖してしまうと低温や乾燥にも強いという特徴がある厄介なカビです。

そのため、すでにカビが発生した後では、乾燥させても、カビが好まない温度にしても、カビは徐々に進行を続けていきます。

ちなみにカビが発生しやすい条件はこの4つです。

  • 湿度70%以上
  • 温度20℃~30℃
  • カビの栄養分がある
  • 酸素がある

もし店内の湿度が70%以下に保たれていたとしても、結露している部分だけでみると湿度は非常に高くなっていますし、天井付近は気温が高い傾向にあります。

もちろん酸素はありますし、カビは埃などを栄養にして繁殖するため、カビの栄養分もあります。

こうしてスーパーマーケットの天井は、カビにとって絶好の場所になってしまうのです。

 

2.天井のカビは壁よりも危険!早めに対処が必要な理由

カビは様々な場所に発生するため、天井以外にも壁や床、棚の裏などにも発生する恐れがあります。

しかし、他の場所のカビよりも天井のカビが危険と言われています。

なぜかと言うと、天井のカビは飛散しやすいからです。

以前弊社の実験で、壁のカビと比べて天井のカビは13.5倍の速度で広がるということがわかりました。

天井の場合、カビの胞子が落下したり、エアコンやドアの開け閉めによって風が流れ込み、その風によってカビの胞子が舞ってしまいます。

そのせいで、カビが発生していない所にもカビが付着し、そこから繁殖する恐れがあるのです。

天井のカビは拡散する速度が速いため、早めの対処が重要です。

しかし、スーパーマーケットなどの店舗だと、カビ取りをしようと思い立った後、上司や経理担当者の許可が必要だったりして、実際にカビ取り作業するまでに時間が掛かってしまうことも多いでしょう。

「まだカビの箇所も小さいし、酷くなるようならその時に考えよう」と思ってしばらく放置していたら、いざ動き出した時に予想外のタイムラグが発生し、業者に来てもらった時には悲惨な状態になっていたというケースもあります。

範囲が広いと施工料金も高くなってしまうので、天井のカビを見つけたら“とにかく早く動き出す”ことを心がけるようにしましょう。

 

3.カビ取り業者を選ぶ時のポイント3つ

自宅でのカビ取りと違い、スーパーマーケットでのカビ取りは個人ではなく業者に依頼することがほとんどだと思います。

しかし、初めての場合はどの業者を選べばいいのか迷ってしまうでしょう。

今までカビ取りを業者に依頼したことがないと、「カビ取り業者の技術に差ってあるの?」と思うかもしれませんが、業者によってかなり違います。

特に天井のカビ取りは、非常に施工しづらい位置なので、技術力の差が顕著に現れやすい場所です。

私自身もよくスーパーマーケットで買い物をしますが、ふと天井を見上げると時々カビを発見します。

そしてカビ取りを行ったであろう形跡を見つけることもあります。

範囲の広さから考えて個人ではなく業者が行ったと思われますが、それでもカビが残っているケースが少なくありません。

カビは癌と同じで、少しでも残ってしまうとそこから一気に拡大していくものです。

それを防ぐためには、完全に除去できるだけの施工技術を持っている会社を見極めることが重要になってきます。

では、どのように見極めればいいのでしょうか?

ポイントとしては以下の3つです。

 

3-1.カビ取り専門業者を選ぶ

清掃業者やリフォーム業者などでもカビ取りを行っているところがあります。

しかし、そういう会社はカビ取りを専門で行っているわけではありません。

カビ取り専門業者よりも経験が少ないことが多いため、カビ取りの技術力で劣っていることがあります。

また、そのような会社はカビの知識が少なかったり、市販のカビ取り剤を使用していて、液剤があまり強力ではないこともあります。

カビは専門的な知識が必要で、カビの種類や発生原因によってカビ取り剤や防カビ剤を使い分けることで効果を発揮します。

もし知識や技術が足りないことで、カビが完全に死滅させられなかったら、そこからカビが再発するかもしれません。

そうなると再び業者にカビ取りをしてもらうことになり、余計に費用が掛かってしまいます。

もちろん、清掃業者やリフォーム会社でも知識や技術力のある業者はいますが、そうではない業者も多いため、選ぶにはリスクが高いです。

そのため、カビ取り専門業者を選んだ方が失敗しにくいと考えられます。

 

3-2.過去の施工実績を確認する

カビ取りを専門に行っている業者を選ぶにしても、やはりそこでも実力差はあります。

そこで見てほしいのが過去の施工実績です。

業者の公式ホームページを見ると、これまでの実績数などを記載しているところがあります。

やはり実績数が多い業者の方が経験値が高いため安心して依頼できます。

また、スーパーマーケットのカビ取りは規模が大きいため、これまでの実績で店舗や病院など大規模なカビ取り経験のある業者を選んだ方がいいでしょう。

個人の家ばかり行っている業者だと、広範囲を行うための機材がなかったり、人手不足だったりすることがあります。

実績数が多くて、大規模なカビ取り経験のある業者にすることがベストな選択だと言えます。

 

3-3.現地調査をしてもらって、たくさん質問を投げかける

信頼できそうな業者が見つかったら、まずは現地調査をしてもらうようにしましょう。

もし複数の業者で悩んでいるなら、両方にお願いして、比較してみるのもいいと思います。

ただし現地調査は無料の業者と有料の業者があるので、そこは注意してください。

現地調査に来てもらったら、その時はたくさんの質問を投げかけるようにしてみましょう。

「カビが発生した原因は?」「どのように施工するのか?」「今後カビを発生させないための対策は?」など様々な質問をすると、知識があり、誠実な業者なら、しっかりと答えてくれます。

また、お客様の立場に立って考えて提案してくれるかどうかも、業者を選ぶ時の判断材料になります。

スーパーマーケットは定休日なく営業していることが多いため、営業時間外だけで施工しないとお店を休むことになり、利益が減ってしまいます。

その辺りも踏まえて、顧客ファーストでカビ取りの提案してくれる業者は信頼できる業者である可能性が高いです。

 

4.カビ取り業者が来るまで対処方法

社内での手続きやタイミングなどの関係で、実際にカビ取りしてもらうまで時間が掛かってしまうということもあると思います。

そのまま放置していると悪化する一方なので、「業者が来るまで悪化させたくない」「少しでも目立たなくさせるために応急処置のやり方を知りたい」という方も多いでしょう。

ここではカビを発見した時からカビ取り作業をしてもらうまでの対処方法をご紹介します。

 

4-1.正しい応急処置のやり方

もし応急処置をしたいのであれば、キッチンハイターなどの濃度の高い次亜塩素酸ナトリウムを塗布することで、一時的に美観を回復させることが出来ます。

ただし範囲が広くなってからだと個人で行うことは難しいので、1㎡以内の場合のみ行うようにしてください。

また、天井のカビ取りは他の箇所と比べても難しくて、危険です。

理由としては脚立にのぼって行うため落下の危険があることと、塗布した次亜塩素酸ナトリウムが重力によって垂れてくる可能性があるためです。

もし自分に垂れてきても問題ないように、ゴーグルやゴム手袋、長袖の服を身に付けるようにしてください。

またカビの胞子や次亜塩素酸ナトリウムを吸い込まないようにマスクの着用も必ずしてください。

準備するもの


  • 次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)
  • ハケ(スポンジでも可)
  • 雑巾
  • 脚立
  • マスク
  • ゴーグル
  • ゴム手袋
  • 汚れても良い長袖の服

準備ができたら以下の手順でカビ取りを行っていきます。

①換気する

長袖の服を着て、マスク、ゴーグル、ゴム手袋を着用してください。

それから換気をして、空気を循環させるようにしてからカビ取りを始めます。

 

②次亜塩素酸ナトリウムを塗布する

脚立にのぼって、ハケで次亜塩素酸ナトリウムを塗布します。

 

③20~30分ほど放置する

カビに次亜塩素酸ナトリウムを染み込ませるために、20~30分ほど放置してください。

 

④水を染み込ませた雑巾で拭く

水を染み込ませた雑巾で拭きます。

次亜塩素酸ナトリウムがなくなるまで、何度も行ってください。

 

⑤しっかりと乾燥させる

しっかりと乾燥させて終了です。

 

花王 キッチンハイター

出典:amazon



 

4-2.カビの進行を少しでも遅らせる方法

業者が来るまでの間、何も対策しないとただ悪化していく一方です。

そこで、少しでもカビの進行を遅らせるためにやってほしいことがあります。

それはオープン冷凍庫に蓋をすることです。

スーパーマーケットの天井のカビは、オープン冷凍庫の冷気による温度差から生じた結露が原因というケースが非常に多いです。

その為、オープン冷凍庫にアルミシートなどを乗せて蓋をすることで、カビの進行を遅らせることができます。

常に蓋をするのがベストですが、営業中は難しいでしょう。

その場合は営業時間外に行うだけでも効果はあります。

少し手間にはなってしまいますが、営業終了後に蓋をして、開店準備の時に蓋を取るようにしてください。

 

4-3.カビを悪化させる!?やってはいけないこと

正しいカビの対処法をすれば進行を遅らせたり、目立たなくさせることができますが、誤った対処法をするとカビを悪化させる恐れがあります。

これから紹介する対処法は行わないようにしてください。

 

4-3-1.送風機を回す

結露した天井を乾かすために、送風機を回すという方法があります。

確かにカビを発生させないために、送風機を回すことは効果的です。

しかし、それはカビが発生していない時の話。

カビが生えている状態で送風機を回すと、その風に乗ってカビの胞子が飛んでいきます。

そうすると元々生えていなかった部分にまで飛んでしまい、そこからカビが繁殖する可能性があります。

カビが発生している時は、直接送風機を当てないようにしてください。

 

4-3-2.ペンキを塗って隠す

すでにカビ取り業者に連絡した方がすることはあまりないですが、個人で対処しようとする方がやりがちな間違った対処法がペンキです。

「見えなくなればいいでしょ」と思ってペンキを塗ってしまうケースがありますが、カビはただの汚れではなく菌です。

一時的にカビは見えなくなりますが、死滅していないのでペンキの下で繁殖を続けます。

しかもカビはペンキすらも栄養分にします。

しばらく経つとペンキの上にカビが現れ、範囲もどんどん広がっていきます。

その段階でカビ取り業者にお願いしても、すでに悪化していて、しかもペンキでカビ取りがしにくくなっているため、費用が余計に掛かります。

死滅していないカビの上にペンキを塗る行為は、カビを悪化させるだけなので絶対にやめましょう。

 

5.天井のカビを防ぐために今すぐできるカビ対策

業者にカビ取りと防カビをしてもらっても、カビが発生しやすい環境が続けば再発する可能性があります。

カビを発生しにくくする設備などの導入もありますが、どうしても費用が掛かってしまいます。

ここではほとんど費用が掛からず、そしてすぐに始められるカビ対策を紹介するので、ぜひ試してみてください。

 

5-1.営業終了後にオープン冷凍庫に蓋をする

4-2.カビの進行を少しでも遅らせる方法でもご紹介しましたが、オープン冷凍庫に蓋をすることでカビ対策になります。

営業中はオープン冷凍庫の冷気による温度差で結露が発生すると思いますが、閉店後に蓋をすることで結露を抑えることができます。

閉店後に蓋をして、開店前に蓋を外す習慣を取り入れるようにしましょう。

 

5-2.営業終了後に天井に向けて送風機を回す

先ほど紹介したオープン冷凍庫に蓋をするという対策と同時に、天井に向けて送風機を回すと更にカビを防ぐことができます。

結露による水分を飛ばし、天井を乾かすことで、カビの繁殖を抑えられます。

ただし、4-3.カビを悪化させる!?やってはいけないことでもお伝えしましたが、カビが発生した後に送風機で風を送ると、カビの胞子を飛散させる原因となってしまいます。

カビの発生を確認にした時は、送風機を回すことは中止してください。

 

6.改装工事する時に導入するべき!カビにくい天井や設備

新しい店舗をオープンする予定だったり、現在の店舗の改修工事を検討している場合は、カビを防ぐためのリフォームや設備を導入することをおススメします。

 

6-1.カビが生えにくい天井にリフォームする

1.なぜスーパーマーケットの天井にはカビが発生しやすいのかでもお伝えした通り、天井裏が暖かいとオープン冷凍庫などの冷気によって結露が発生します。

それを防ぐためには、断熱性の高い天井にすれば温度差が生まれにくく、結露を抑制することができます。

また、最近はカビ防止に特化した天井などもあるので、そのようなものを選ぶと更に効果的です。

 

カビい天井ボード(アイ・セラミック・テクノロジー

熱遮断、結露防止、防菌、抗カビの効果があるとされるセラミック塗料「アクシオン25」でコーティングされた天井ボードです。

特殊セラミックによって瞬時に室温と同じ温度になって結露を防ぐことができるだけでなく、カビや黄色ぶどう球菌、大腸菌などの菌の発生も抑える効果もあり、湿気が多くて食品を扱うスーパーマーケットには最適な天井です。

 

6-2.結露防止のために天井ファンを導入する

常に空気を循環させることで、ある程度結露を抑制することができます。

しかし、ただ空気を送るだけだと、天井裏との温度差は大きいままですし、循環させる空気自体の湿度が高いため完全に結露を防ぐことは難しいです。

そこで、除湿しながら温度差の問題も解消する設備を導入すると更に結露が発生しなくなります。

 

カラットデジカント空調機(アースクリーン東北

室内空気をデシカント空調機に取り入れ、除湿してから室内に吸気する仕組みになっています。

この除湿された空気が天井に流れ込むことで、天井周辺は湿度が低く保たれ、天井裏との温度差ほとんどないため、結露を防ぐことができます。

 

7.まとめ

今回はスーパーマーケットの天井にカビが発生した場合の対処法をご紹介しました。

食品を取り扱っているスーパーマーケットにカビが発生していると、お客様に不快感を与えてしまい、直接売り上げに影響を及ぼします。

そうならないためにも、カビを発見したら早急に専門業者に依頼して、カビ取りを行ってください。

カビ取り業者を選ぶ際の3つポイントはこちらです。

また、弊社でもスーパーマーケットのカビ取りを行っております。

スーパーマーケットや病院、企業など大規模なカビ取りも多数行っておりますので、実績の部分でも安心していただけると思います。

エリア内であれば現地調査を無料で行っておりますので、もしカビにお困りでしたら一度お問合せください。

そしてカビ取りをしてもらった後は、再発を防ぐためにカビ対策をしましょう。

天井のカビを防ぐために今すぐできるカビ対策


 

・営業終了後にオープン冷凍庫に蓋をする

 

・営業終了後に天井に向けて送風機を掛ける

他にもカビが発生しにくい設備などもありますので、そういうものを導入するのもひとつの手です。

この記事により、カビのない清潔な店舗を取り戻して、たくさんのお客様で溢れるお店作りに貢献できることを願っています。